八王子バプテスト教会通信

5月15日のメッセージ 2022年5月15日

み言葉を託された者:エリヤ(3)

アハブはエリヤのしたすべての事、また彼がすべての預言者を刀で殺したことをイゼベルに告げたので、イゼベルは使者をエリヤにつかわして言った、「もしわたしが、あすの今ごろ、あなたの命をあの人々のひとりの命のようにしていないならば、神々がどんなにでも、わたしを罰してくださるように」。そこでエリヤは恐れて、自分の命を救うために立って逃げ、ユダに属するベエルシバへ行って、しもべをそこに残し、自分は一日の道のりほど荒野にはいって行って、れだまの木の下に座し、自分の死を求めて言った、「主よ、もはや、じゅうぶんです。今わたしの命を取ってください。わたしは先祖にまさる者ではありません」。彼はれだまの木の下に伏して眠ったが、天の使が彼にさわり、「起きて食べなさい」と言ったので、起きて見ると、頭のそばに、焼け石の上で焼いたパン一個と、一びんの水があった。彼は食べ、かつ飲んでまた寝た。主の使は再びきて、彼にさわって言った、「起きて食べなさい。道が遠くて耐えられないでしょうから」。彼は起きて食べ、かつ飲み、その食物で力づいて四十日四十夜行って、神の山ホレブに着いた。その所で彼はほら穴にはいって、そこに宿ったが、主の言葉が彼に臨んで、彼に言われた、「エリヤよ、あなたはここで何をしているのか」。

I列王紀19:1〜9

 

カルメル山での勝利でホッとしたのもつかの間、エリヤはまたもや命辛々逃げ出すことになります。しもべをユダヤ領のベエルシバに置いて行きます。南のユダヤにはアハブやイゼベルの主権が及ばず、そこでは安全だからです。

 

そしてそこから荒野に一日の道のりほど入って、主にリタイヤを申し出ます。

 

自分の死を求めて言った、「主よ、もはや、じゅうぶんです。今わたしの命を取ってください。わたしは先祖にまさる者ではありません」。

 

そしてそのまま、木陰で眠りに落ちます。確かに、モーセ、ヨシュア、サムエルなどと比べると、エリヤは民を束ねて主に従わせている訳ではありません。孤独感の恐怖の中にいます。もう、どうでもいいから全て投げ出したい気持ちです。しかし、そのようなエリヤに、主はまだ御用を用意しておられました。とりあえずは腹ごしらえです。天使が焼いてくれたパンを食べたことがある人間は、果たして何人いるでしょうか?パンと水でお腹を満たしてから、また眠りに落ちます。そしてまた起きて、腹を満たして、40日の旅路につき、ホレブ山に着きます。

 

聖書のホレブ山が現在のどこにあたるのか、様々な説があります。ホレブ山はシナイ山と同じ山であるとの見方が大勢ですが、可能性がある候補地は10以上あります。そのほとんどは、アラビア半島とエジプトにあります。エリヤは、アハブとイゼベルから逃げて、本当に遠くまできました。そして洞穴に入ります。当分、ここでお尋ね者として、誰にも見つからないように、再び長〜い逃亡生活を送るつもりだったのでしょう。しかし、ここに主がやってきて、言います。

 

「エリヤ、こんなところで何をやってるんだ?」

 

このセリフ、どこかで聞いた覚えありませんか?そう、エリコの戦いに勝利した後に、アイとの戦いで敗走したあとのシーンです。イスラエルを率いていたヨシュアが平伏して主の前に祈っています。

 

ヨシュアは言った、「ああ、主なる神よ、あなたはなにゆえ、この民にヨルダンを渡らせ、われわれをアモリびとの手に渡して滅ぼさせられるのですか。われわれはヨルダンの向こうに、安んじてとどまればよかったのです。ああ、主よ。イスラエルがすでに敵に背をむけた今となって、わたしはまた何を言い得ましょう。カナンびと、およびこの地に住むすべてのものは、これを聞いて、われわれを攻めかこみ、われわれの名を地から断ち去ってしまうでしょう。それであなたは、あなたの大いなる名のために、何をしようとされるのですか」。主はヨシュアに言われた、「立ちなさい。あなたはどうして、そのようにひれ伏しているのか。イスラエルは罪を犯し、わたしが彼らに命じておいた契約を破った。彼らは奉納物を取り、盗み、かつ偽って、それを自分の所有物のうちに入れた。それでイスラエルの人々は敵に当ることができず、敵に背をむけた。彼らも滅ぼされるべきものとなったからである。あなたがたが、その滅ぼされるべきものを、あなたがたのうちから滅ぼし去るのでなければ、わたしはもはやあなたがたとは共にいないであろう。立って、民を清めて言いなさい、『あなたがたは身を清めて、あすのために備えなさい。イスラエルの神、主はこう仰せられる、「イスラエルよ、あなたがたのうちに、滅ぼされるべきものがある。その滅ぼされるべきものを、あなたがたのうちから除き去るまでは、敵に当ることはできないであろう」

ヨシュア記7:7〜13

 

つまり、今は打ちひしがれている場合では無く、今は行動のときなのです。しかし、ここまでずっと耐えて我慢してきたエリヤにも言いたいことはあります。

 

「わたしは万軍の神、主のために非常に熱心でありました。イスラエルの人々はあなたの契約を捨て、あなたの祭壇をこわし、刀をもってあなたの預言者たちを殺したのです。ただわたしだけ残りましたが、彼らはわたしの命を取ろうとしています」。

I列王紀19:10

 

自分が一生懸命主のために自らを犠牲にしてきたのに、今は一人ぼっちになってしまっている気持ちをぶつけます。そこで主は、エリヤに表に出るように命じます。

 

主は言われた、「出て、山の上で主の前に、立ちなさい」。その時主は通り過ぎられ、主の前に大きな強い風が吹き、山を裂き、岩を砕いた。しかし主は風の中におられなかった。風の後に地震があったが、地震の中にも主はおられなかった。地震の後に火があったが、火の中にも主はおられなかった。火の後に静かな細い声が聞えた。エリヤはそれを聞いて顔を外套に包み、出てほら穴の口に立つと、彼に語る声が聞えた、「エリヤよ、あなたはここで何をしているのか」。

I列王紀19:11〜13

 

この流れで、「こんなところで何をやってるんだ?」

えっ?先ほどの話を聞いてなかったんですか?

これにはさすがのエリヤも困惑します。

だから言ったでしょう!

 

「わたしは万軍の神、主のために非常に熱心でありました。イスラエルの人々はあなたの契約を捨て、あなたの祭壇をこわし、刀であなたの預言者たちを殺したからです。ただわたしだけ残りましたが、彼らはわたしの命を取ろうとしています」!

I列王紀19:14

 

それに対する主の返答。

なるほど、では次の指示だ。

・今来た40日の道を戻って、ダマスコに行ってハザエルをシリアの王にしなさい

・エヒウをイスラエルの次の国王としなさい

・エリシャをあなたの後継者に任命しなさい

・以上

・追記:あなたは一人ぼっちじゃない、仲間が7000人いるよ

 

せっかく40日かけてきたのに、その道を逆戻りして、アハブが健在にも関わらずその後継者を立てる、しかもさらに外政にまで手を出す?もっと危険な任務ばかりじゃないですか!一体何のために逃げたのか?

 

しかし、考えてみれば、最初のアハブとの対面の時には「逃げろ」の指示はありましたが、今度のイゼベルからの脅しの時には「逃げろ」の指示はありませんでしたね。エリヤが人間の気持ちからとっさに取ってしまった行動です。

 

そして、主はエリヤの孤独感にも寄り添い、仲間がたくさんいることを伝えます。

 

次回、エリヤが現場復帰します。

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